こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。今回の記事では、現在、翻訳業界における注目が高まっている、IT(Information Technology・情報技術)翻訳についてご紹介したいと思います。
2022年は、全世界の企業におけるIT関連の支出が、前年比で5.1%増加し、4.5兆ドルの規模に達すると予想されています。日本国内でも、政府によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等により、企業によるITサービスの利用は急速に広がりを見せており、それに伴って、IT翻訳の需要が伸びてきています。
一般的に、IT翻訳というと、技術マニュアルの多言語化等のイメージが強いかもしれません。しかし、現在、IT翻訳の範囲は、技術マニュアルのみにとどまりません。マーケティング関連資料の翻訳や、ウェブサイトの多言語化等、幅広いジャンルにおいて、ITに関するインテリジェンスが求められる場面が増えています。
IT分野の翻訳は「機械翻訳を活用しやすい分野なのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在では、ITのみならず、他の分野のインテリジェンスや経験が複合的に求められるケースが増えてきているため、機械翻訳に頼りきりでは、高品質な訳文を作成することが難しくなっているのです。
そこで、今回は、IT翻訳の概要と、IT翻訳をプロの翻訳会社にご依頼いただいた方がいい理由、そして、翻訳会社に翻訳をご依頼なさる前にご確認いただきたいポイントを、まとめてご紹介いたします。
IT翻訳の概要とプロの翻訳会社にご依頼いただいた方がいい理由
最初に、IT翻訳の概要と、IT翻訳をプロの翻訳会社にご依頼いただくことをお勧めしたい理由をご紹介いたします。
IT翻訳とは、ITや、コンピュータに関連する文書の翻訳のことを指します。法務・医学・経済分野等と同じく、産業翻訳における一分野であり、IT翻訳は、プロフェッショナルな翻訳者たちにとっても、高度な専門性が求められる分野です。
産業翻訳においては、翻訳の些細なミスが、ビジネスの損失に直結するといった、重要な文書を扱うことがあるため、その分野に精通した、高いインテリジェンスを持つ翻訳者が、技術や法律に関する最新情報をしっかりと押さえた上で、翻訳を行うことが重要になります。
IT翻訳の代表とも言える技術マニュアルの翻訳は、定型文が多いため、機械翻訳でも対応できる、と言われることもありますが、テクノロジー関連の分野は、日進月歩で、技術革新を続けています。技術革新の発展速度と、機械翻訳の発展速度は異なり、機械翻訳は選択や学習、プログラム構築といったタイムロスがあるため、常に先行する技術革新を後追いする形になることは避けられません。つまり、最新のインテリジェンスに関するアップデートが間に合わない部分については、誤訳リスクがあるのです。
そのため、企業様が、ビジネスで利用される最新のIT関連のコンテンツを翻訳なさる場合は、プロの翻訳会社にご依頼いただくことが、最も安全であると言えます。
誤訳がビジネスに与える損害や影響については、以下の記事を参考になさってください。
IT分野のインテリジェンスが求められる翻訳事例と背景
IT翻訳は、ここ10年において、企業様よりご依頼いただく翻訳の範囲が、大きく広がった分野です。現在、ITのインテリジェンスが求められる翻訳事例と、翻訳範囲が広がりつつある背景を、ご紹介します。
IT翻訳の対象となる翻訳事例:
- 技術マニュアル
- 設計仕様書
- ソフトウェアのローカライズ
- UI翻訳(システムの画面やメッセージの翻訳)
- ウェブサイト、
- プレスリリース、
- デジタルカタログ、等
Windows等のパソコンが浸透し始めた1990年〜2000年代の前半、IT翻訳で企業様よりご依頼いただく内容の大部分は、IT企業様によるサービスの技術マニュアルや、ヘルプガイド等の翻訳でした。
しかし、現在では、ITを活用した、お客様向けのウェブサイトや、デジタルカタログといった、マーケティング関連資料等の翻訳のご依頼が増えてきています。
これは、世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等の影響により、あらゆる産業分野におけるビジネス展開において、ITの活用が欠かせなくなっているためです。
IT翻訳で対応する範囲が広がるにつれて、翻訳者に求められるインテリジェンスは、IT分野にとどまらず、マーケティングや、AI等の分野まで広がっており、機械翻訳の発展の核であるコーパス(テキストや発話を大規模に集めてデータベース化した言語資料)の収集が追いつかない状況です。
IT翻訳をご依頼なさる際に翻訳会社にご確認いただきたいポイント
では、企業様がIT翻訳を翻訳会社にご依頼なさる際、事前に翻訳会社にご確認いただきたいポイントを、2つのケースに分けてご紹介します。
その1. 技術マニュアル・ヘルプガイド・UI等の翻訳の場合
技術マニュアルや、ヘルプガイド、UI(ユーザーインターフェース)の翻訳をご依頼なさる場合、以下の2点をご確認いただくことをお勧めします:
- ITや技術マニュアルに精通した専門部署を擁していること
- ビジュアルの翻訳やデザインにも対応できる、DTPサービスを提供していること
技術マニュアルや、ヘルプガイド、UI翻訳等については、翻訳者が、お客様からご提供いただく、用語集やスタイルガイド、インターフェース図や、操作説明書を読み込み、内容を正確に理解することで、高品質な翻訳に繋がります。
この作業には、ITの専門的なインテリジェンスが欠かせないため、翻訳会社には、IT専門の部署を有しているかどうか、事前にご確認いただくことをお勧めします。
また、技術マニュアルや、UI翻訳においては、イラストや、アイコン等、ビジュアルやレイアウトが重要な役割を担います。もし、原文にビジュアルを含む場合は、翻訳会社が、DTP(卓上翻訳)と呼ばれる、デザイン作成から翻訳まで対応できるサービスを提供しているか、ご確認いただくことがお勧めです。
弊社の場合、技術マニュアルや、UI翻訳など、各分野に精通した専門のチームを擁しており、DTPサービスにも対応しています。そのためお客様のニーズに合わせて、ゼロから原稿執筆、レイアウト、美術デザインの作成を行うため、海外ユーザーの使用感を向上させる、高品質な翻訳をご提供することが可能です。
DTPサービスの詳細や、重要性については、以下の記事も併せてご参考になさってください。
その2. ITを活用したマーケティング資料等の翻訳の場合
ITを活用したマーケティング資料等の翻訳をご依頼なさる場合は、上記でご紹介した2点に加えて、以下の2点をご確認いただくことを、お勧めします。
- トランスクリエーションのスキルをもつ翻訳者を擁していること
- ローカライズに対応していること
海外ユーザー向けのウェブサイト等を多言語化する場合、ITの専門的なスキルに加え、トランスクリエーション(Transcreation)と呼ばれる、ユーザーの興味を惹きつける、訴求力のある訳文を作るスキルや、使用地の文化や社会背景に配慮した、ローカライズが欠かせません。
特に、マーケティング資料に関しては、地域により、法的制限が異なります。例えば、中国では「第一」という表現が認められません。他言語から中国語に翻訳する場合は、「第一名(一番、No.1)」といった表現を避ける、などの配慮が必要です。
弊社でマーケティング関連資料の翻訳を実施する場合は、IT分野の専門家による原文の翻訳と校正に加え、最後にマーケティングに精通した翻訳者が文章の手直しを行い、ユーザーにとって最も読みやすい訳文をご提供しています。
ITと関連するマーケティング翻訳の事例については、以下の記事も併せてご参考になさってください。
いかがでしたか?IT翻訳においては、IT分野のインテリジェンスのみならず、様々な分野に精通している翻訳者の存在が欠かせない理由が、少しわかっていただけたのではないかと思います。
今後、自社のサービスの内容や魅力がユーザーにしっかりと伝わる、高品質なIT翻訳をお求めのお客様は、弊社・統一翻訳まで、ご相談いただければと思います。
弊社では、常時1万人以上、140カ国以上の翻訳者と契約しており、IT翻訳においては、IT分野の専門チームが対応します。
また、翻訳文に対しては、必ずネイティブスピーカー(校正者)による二次チェックを行いますので、ウェブサイトや、UI(ユーザーインターフェース)翻訳など、ローカライズが求められるコンテンツの翻訳も、安心してお任せいただけます。
現在、弊社では、翻訳品質をご確認いただける、原文300文字の無料トライアルもご提供しておりますので、IT翻訳をお考えの企業様がおられましたら、ぜひこちらからご連絡ください。