こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。今回は、ビジネスのグローバルな展開のために欠かせない、マニュアル翻訳のコツについてご紹介します。

自社の製品やサービスを、ユーザーに正しく使用していただくためには、高品質なマニュアルは不可欠です。しかし、ECサイトなどで購入した海外製の商品には、機械翻訳の訳文をそのまま使用した、変な日本語マニュアルが付属している場合があります。

マニュアル翻訳における誤訳は、最悪の場合、ユーザーの健康被害等につながるリスクがあり、あってはならないものです。

かつて、アメリカにある粉ミルクの会社が、マニュアルを英語からスペイン語に翻訳する際、赤ちゃんの健康被害につながりかねない誤訳が生じたために、460万缶の粉ミルクの回収を余儀なくされたという事例もあります。

上記のように、マニュアル翻訳における誤訳は、ユーザーから訴訟を起こされたり、企業の賠償責任が生じたりするといった、ビジネス上の甚大な損害を与えかねません。

そこで、今回の記事では、製品マニュアルを多言語展開したいとお考えの企業様に、ぜひ知っていただきたいコツを、3つのパートに分けてご紹介します。事前にコツを押さえるだけで、翻訳品質が高まるだけでなく、翻訳コストを抑えることにも直結しますので、ぜひ最後までご覧ください。

高品質な日本語のマニュアルを作成するコツ

日本語マニュアル作成のコツ

最初に、企業様が、高品質な日本語マニュアルを作成する際の3つのコツをご紹介します。日本語のマニュアルの品質が、その後の海外版マニュアル翻訳の品質に直結しますので、特に注意を払ってください。

コツ1. 文章の主語を明確にする

日本語の文章においては、前後の文脈から主語が推測できる場合、主語が省かれることがあります。しかしマニュアルにおいては、主語を明記しないと、主語の取り違えによりユーザーが誤用したり、翻訳の際に誤訳を招いたりすることがあるため、主語は省略せず、繰り返し記載してください。

また、指示語(こそあど言葉)の使用は、マニュアルの読み手を迷わせ、時に誤読の原因となるため、極力使用しないようにしてください。

マニュアルでは指示語を避ける

コツ2. 二重否定を使用した表現を避ける

二重否定とは、「〜ないと〜ない」といった以下のような表現を指します。マニュアルにおいて二重否定の構文を使用してしまうと、説明内容が曖昧になるリスクがあり、また外国語に翻訳する場合、不必要に回りくどい表現になってしまい、ユーザーの誤読を誘う可能性があるため、基本的に肯定文で書くことをお勧めします。

<二重否定の例>

✖:カメラの緑のランプが点灯しないと、正常に作動していない可能性があります。(二重否定)

◯:カメラの緑のランプが点灯したら、正常に作動しています。(肯定文)

コツ3. 一文を短く区切る

マニュアルは、ユーザーに行動を促すための資料です。ユーザーが、マニュアルを読みながら行動することを想定し、マニュアル文を一読しただけで内容が理解できるように、一文を短く区切ることが重要です。

高品質な多言語マニュアルを作成するコツ

多言語マニュアル作成のコツ

続いては、マニュアルの多言語化に際して、原文の意味が、正しく海外ユーザーに伝わる高品質なマニュアルを作成する上で、企業様に知っておいていただきたい2つのコツをご紹介します。

コツ1. 用語集を作成する

用語集とは、翻訳対象となる原稿の分野(業界)に合わせた「専門用語」「略語」「クライアント指定用語」等を、どのように翻訳すべきかをまとめた資料です。

マニュアルでは、商品やサービスに関する様々な専門用語や固有名詞が使用されます。当該製品を開発した企業側が用語集を準備し、事前に訳語を指定しておくことで、翻訳時の表記のゆれや、意味の取り違いを防ぎ、翻訳の質を高めることができます。

用語集の作成方法については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

関連記事:用語集が翻訳の質を決める!翻訳用語集の基礎知識と作成方法

コツ2. イラストや写真等のビジュアルを活用する

多言語翻訳を意識したマニュアルにおいては、イラストや写真等のビジュアルを活用して文字を減らし、文章を読まなくても、ユーザーが理解しやすい内容にすることが重要です。

例えば、年間3500種類以上の組立説明書を38か国の言語で作成しているスウェーデンの家具メーカーIKEAでは、年間3万点の商品画像をマニュアル内で使用しています。

IKEAのマニュアル
引用元:IKEA公式ウェブサイト

上記のIKEAのマニュアルのように、ビジュアルを活用する際は、商品を表示する角度を揃える、商品の全体を表示してパーツを明確にする、といった工夫も欠かせません。

翻訳会社にマニュアル翻訳をご依頼なさる際のコツ

翻訳会社に依頼する

最後に、翻訳会社の立場から、翻訳会社にマニュアルの翻訳をご依頼なさる際に、これだけは意識していただくと良い、5つのコツをご紹介します。

以下のコツは、少し意識するだけで翻訳の品質を高められる上、コストダウンにも直結しますので、企業様の方でもぜひ取り入れてみていただくことをお勧めします。

コツ1. 原文のマニュアルを見直し翻訳箇所を特定する

翻訳をご依頼なさる前に、原文のマニュアルの冗長な表現や無駄な箇所を見直し、翻訳の範囲を明確になさることをお勧めします。事前に原文を精査することで、翻訳完了後に、翻訳不要な箇所が見つかり、余計なコストがかかる、といった事態を防ぐことができます。

コツ2. 用語集やスタイルガイドを準備する

用語集とは

用語集や、表現や表記に関するルールをまとめたスタイルガイドと呼ばれる文書を準備することで、表記のゆらぎを防ぎ、あらゆるユーザーにとって読みやすく、安全に製品を利用できる、質の高い多言語翻訳マニュアルを作成することができます。さらに、翻訳者サイドでの、用語検索にかかる時間が削減できるため、翻訳のスピードアップに繋がります。

コツ3. 余裕のある納期を指定する

翻訳に使える時間は多ければ多いほど、品質に直結します。翻訳会社に対し、できるだけ余裕のある納期を伝えることで、特急料金などの追加費用の発生が避けられます。また、翻訳会社側も、最適な翻訳者を手配する時間をしっかり確保することができるため、翻訳の質が向上します。

コツ4. ビジュアル(画像)内の文字はWord等に文字起こしする

マニュアルで使用しているビジュアル(画像データ)上に、翻訳すべきテキストが含まれる場合は、イメージファイルの提出と併せて、画像の一部としてアウトライン化されている、直接編集できないテキストを、Wordなどに文字起こししたテキストファイルを併せて提出いただくことで、翻訳費用が抑えられます。

コツ5. 仕上がりイメージを事前に共有する

マニュアルの翻訳において、レイアウトやフォントサイズ調整のためにDTP(Desktop Publishing)と呼ばれるサービスを利用なさる場合は、希望のフォントや、仕上がりイメージ等について事前に翻訳会社に共有することで、仕上がりの品質を担保しつつ、翻訳会社の作業工数を最小限に抑えることができます。

高品質なマニュアル翻訳は統一翻訳にお任せを

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今回は、製品やサービスのマニュアルを翻訳する際、企業様にぜひ知っておいていただきたいコツを、まとめてご紹介しました。

今回ご紹介したコツ以外にも、マニュアル翻訳においては、例えば中国国内で特定分野の製品のマニュアルを作成する際に遵守すべき「GB 規格」等、各国規定に関する知識が欠かせません。

関連記事:製品・社内マニュアルの翻訳は慎重に!翻訳会社が伝えたい3つの注意ポイント

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