こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。台湾にご出張や駐在なさる皆様の中には、台湾で通じる言語を学びたい、とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
台湾は、日本と異なり、中国語のほか、閩南語(台湾語)、客家語等、複数の言語が生活の中で使用されています。そのため、中国語を学んだ方でも、少し聞き取りにくい単語や、フレーズを耳にする機会があるかもしれません。
しかも、台湾で使用される中国語は、厳密には中国の北京語とは異なります。台湾の言語を学ぼうと、日本で語学スクールの中国語レッスンに参加される場合、北京語のみで授業が行われるケースも多く、実際に台湾に来ると、授業と違う、とお感じになられる方もおられます。
台湾でお仕事をなさるのであれば、中国の北京語とも異なる、本当の台湾の言語を少し知っておくと、台湾人とのコミュニケーションが円滑に進みます。
また、台湾の言語の特徴や、注意すべき点を知らないままでは、ちょっとした表現上の違いで思いがけずユーザーの信頼を失ったり、トラブルが発生した際、迅速に対応できなかったりするリスクにつながります。
そこで今回は、台湾の言語に精通する弊社・統一翻訳から、台湾の仕事で使用される言語や、役に立つフレーズ、そして、台湾のビジネスにおいて言語の面でご注意いただきたい点を、ご紹介します。
台湾の仕事において使用される言語
最初に、台湾の仕事において使用される、主な言語をご紹介します。
台湾のビジネスで主に用いられるのは、台湾の公用語である「台湾華語」になります。台湾の台湾華語は、中国の北京語を素地とする言語です。
しかし、台湾華語と、北京語では、発音表記、漢字、単語や語尾等、いくつも異なる点が存在し、企業の研修や語学スクールで学んだ中国語が、台湾では上手く通じなかった、といったケースも見られます。
台湾華語と北京語(普通語)の詳しい違いは、以下の記事をご参考になさってください。
台湾で通じる中国語を、ということであれば、まず台湾華語を学ぶことをお勧めいたします。現在では、台湾華語のオンラインレッスンや、テキスト、Youtube動画等が充実しておりますので、こちらも活用なさってください。
台湾華語の素材を提供しているサイト(一例)
- オンラインレッスン:台湾華語教学センター
- テキスト:台湾留学.com台湾華語テキストオンラインストア
台湾華語のさらに詳しい特徴については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
台湾の仕事で使用されるフレーズ(一例)
台湾に拠点を構える日系企業の場合、おそらく日本語に精通したスタッフがいらっしゃる事と思います。
しかし、出張者や、駐在員ご自身が、台湾華語を少しでもお話になると、台湾人スタッフと打ち解けやすくなったり、会議での存在感が増したり、といったメリットが生まれます。
そこで以下では、台湾華語の学習を始めたばかりの方にもお勧めの、初対面の挨拶や、会話の中で頻繁に登場する台湾華語を、少しだけご紹介します。
その1. 初対面の挨拶(一例)
您好、我是〇〇(会社名)的▲▲(名前)。很高興認識您/請多指教。
(こんにちは、私は〇〇会社の▲▲と申します。お会いできて光栄です/どうぞよろしくお願いします。)
上記の挨拶をご覧になって、中国語のレッスンで教わった「初次見面(初めまして)」が出てこないことに、気がつかれた方がいらっしゃるかもしれません。
実は、「初めまして」という挨拶は、日本語特有のものであり、台湾ではあまり使用されません。上記の表現は、台湾で実際に使用される、より自然な挨拶の表現になります。
その2. 会話の中でよく聞かれる質問(一例)
ビジネスでは、日常の話題から入るケースが多くみられます。日本人の出張者や、駐在員が聞かれやすい内容の一例として、場所に関する質問をご紹介します。
質問1:你住在哪裡?(どこに住んでいますか?)
回答:我住在東京。(私は東京に住んでいます。)
質問2:你去過九份嗎?(あなたは九份に行ったことがありますか?)
回答:有、我去過。または、沒有、我沒去過。(はい、行った事があります。または、いいえ、行った事がありません。)
上記の「我去過」という回答は、我有去過(行った事があります)という言い方をする場合もあります。
台湾華語の特徴の一つに、「你有看到他嗎?」「我有在家」等、口語のなかで「有(ヨウ)」という言葉が、中国よりも頻繁に登場する点が挙げられます。台湾の「有」は、中国の「有」よりも幅広い意味を持つためです。
台湾で仕事を行う際に言語面で注意すべき点
最後に、台湾で仕事を進める際、言語面でご注意いただきたい点を2つご紹介します。
それは、台湾華語と中国の北京語を混同しないこと、そして、台湾華語の正確な翻訳が求められる場面を押さえておくことです。
これらの点については、予めご注意いただくことで、思いがけずユーザーの信頼を失ったり、トラブルが起きた際に立場が不利になったりするリスクを回避できます。
ポイント1. 台湾華語と中国の北京語を混同しない
台湾華語と、中国の北京語では、表記の際の漢字が異なります。台湾では繁体字、中国では簡体字(繁体字を簡略化し、覚えやすくした字体)を使用します。繁体字と簡体字の詳しい違いについては以下の記事をご参考ください。
台湾華語と北京語では、漢字のみならず、表現そのものが異なるパターンも存在します。以下に、ビジネスで使用される単語のうち、中国と台湾で、表現が異なる事例の一部をご紹介します。
日本語 | 中国 | 台湾 |
---|---|---|
人工知能 | 人工智能 | 人工智慧 |
二次電池、蓄電池 | 二次性电池 | 充電電池 |
シニア市場 | 夕阳市场 | 銀髮市場 |
勤続年数 | 工龄 | 年資 |
コスト(製品) | 工本 | 成本 |
オンライン会議 | 可视会议 | 視訊會議 |
反響(ニュースに対する) | 反馈 | 反應、迴響 |
台湾において、中国で使用される表現を用いた広告や、ウェブサイト等を配信してしまうと、この企業は自分達に対して理解がない、と受け取られ、信頼を失うリスクにもつながりかねないため、ご注意ください。
台湾のビジネスで、中国語を使用する際のポイントは、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
関連記事:【台湾の言語の特徴とは】ビジネスで誤解を生まないためのポイントと翻訳アプリの注意点
ポイント2. 正確な台湾華語が求められる場面を押さえる
台湾で仕事をなさる場合、どうしても正確な台湾華語が求められる場面が出てきます。例えば、契約書の締結や、係争事案における裁判等といった場面です。
日本で働いていると、訴訟トラブルなんてなかなか起きないだろう、と考えてしまいがちですが、台湾では、2020年から労働事件法という法律が施行され、労働者の起訴が容易になったことで、訴訟の件数が急増しました。
日本で1年間に発生した労働争議は約4,000件であるのに対し、台湾では約2万4千件の労働争議が起きています。うち5割は、訴訟に至らず、交渉で解決しましたが、それでも少ない数ではありません。
労働者から起訴された場合、雇用者には以下の点が義務付けられます。
- 労働者の起訴内容を否定する証拠書類は雇用者側が提出
- 裁判における答弁では台湾華語を使用
台湾で万が一、訴訟トラブルに発展した場合、証拠書類から、裁判の弁論まで、全てにおいて正確な台湾華語が求められます。
そのため、台湾人を雇用する立場にいらっしゃる方は、法律文書等に機械翻訳をご使用なさらないよう、くれぐれもご注意ください。重要な文書の翻訳や、通訳は、専門の翻訳会社にお任せいただくことをお勧めします。
台湾における翻訳会社の選び方は、以下を参考になさってください。
また、台湾に本社を構える弊社では、50年以上にわたり、世界25,000社以上の企業に、台湾華語の翻訳サービスをご提供してきました。そのため、台湾華語の翻訳に関しては、世界一のクオリティを誇ります。
現在、弊社では、原文300文字の無料翻訳トライアルも実施中ですので、もしビジネスの場面で、高品質な台湾華語の翻訳サービスをお求めの方は、ぜひ一度、こちらからご連絡ください。
いかがでしたか?今回は、台湾のお仕事で使用する言語や、注意すべき点についてご紹介しました。この記事が、台湾でビジネスをなさる皆様の一助になれば幸いです。