こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。今回は、台湾におけるビジネスで不可欠である「台湾の言語」について、ご紹介したいと思います。

皆様の中には、日本国内の中国語教室で教えている中国語は、中国の公用語である北京語であって、台湾で話されている中国語とは異なる、と耳にされた方がいらっしゃるかもしれません。

台湾の言語の翻訳サービスを長年提供している弊社・統一翻訳では、お客様から「台湾語に翻訳をしてほしい」、というご依頼をいただくことがあります。しかし実は、台湾で主に使用される言語というのは、台湾語とも、中国の北京語とも異なった、「台湾華語」と呼ばれる言語になります。

台湾でビジネスを行うにあたり、台湾の言語に関するインテリジェンスを備えていることは非常に大切です。なぜなら、台湾の言語を、中国の言語と一括りに捉えてしまうと、台湾人からの信頼感を失ってしまうリスクがあるためです。

そこで、今回は、台湾の言語について、ビジネスでも使用される「台湾華語」の特徴を中心にご紹介します。また、台湾で翻訳アプリを使用なさる際に注意すべき点についても、併せてご紹介します。

人口2300万人の台湾で実際に使用される言語とは

台湾101の様子

台湾では、現在、16種類の民族と42種類にわたる言語が存在しています。そこで最初に、台湾で使用される言語を、4種類に分けてご紹介します。

  1. 台湾華語:台湾の公用語であり、中国の北京語(普通語)を素地とする言語
  2. 台湾語(閩南語):台湾で日常的に使用される話し言葉で、中国福建省の閩南語を素地とする言語
  3. 客家語:中国大陸の広東省・福建省・江西省の移民から伝わった言語
  4. その他原住民族の言語:台湾各地の原住民族がそれぞれ使用している言語

台湾における主要言語の使用率
参考資料:行政院109年人口及住宅普查初步統計結果新聞稿

台湾政府の調査によると、台湾において、最も使用率が高い言語は、台湾華語です。しかし同時に、台湾では台湾語(閩南語)の使用率も非常に高いため、台湾の公用語=台湾語である、と勘違いされがちなのですが、実は、台湾華語と台湾語は、全く異なった言語です。

台湾の方の中には、台湾語や客家語を日常的に使用される方もおられます。しかし、ビジネスにおいては、基本的に、台湾華語を使用します。そのため、もし今後、皆様が台湾の言語を習得されたいとお考えであれば、まずは台湾華語から始めていただければ、問題ありません。

もし、台湾語の話者が多いとされる台南や高雄等、台湾南部を訪れる機会が多い方は、日常的に使用できる台湾語のフレーズをいくつか覚えておくと、台湾人との距離がぐっと縮まります。

台湾現地で頻繁に使用される台湾語のフレーズ(一例)

<台湾現地で頻繁に使用される台湾語のフレーズ(一例)> ごめんなさい=歹勢(パイセー) ご飯食べた?=呷飽没?(ジャパーボエ)

台湾のビジネスで欠かせない言語「台湾華語」と中国の北京語との相違点

台湾華語とは

台湾の公用語である「台湾華語」という言語は、中国で話されている北京語を素地とし、そこに台湾語や日本語が混ざり合って生まれた言語です。ここでは、台湾華語の特徴について、中国の北京語との3つの違いを明らかにしつつご紹介します。

相違点1. 漢字

台湾華語においては繁体字という伝統的な字体が使用され、北京語においては簡体字という、繁体字を簡略化した字体が使用されます。

漢字の中には、繁体字と簡体字で、①完全に同一のもの、②やや特徴が似ているもの、③全く特徴が異なるものがあります。

台湾華語(繁体字)中国の北京語(簡体字)
①完全に同一
②やや特徴が似ている
③全く特徴が異なる

実は、中国政府の調査によると、台湾で使用される繁体字を読むことを困難に感じる、と答えた中国人が、約5割にも上っています。それと同様に、台湾人の中にも、簡体字で書かれた文章を読むことは、あまり得意ではないと考えている人もおられます。

相違点2. 発音記号

二つ目の違いは、発音記号です。台湾華語においては「注音符号(ボポモフォ)」、中国の北京語においては「拼音(ピンイン)」という発音記号が主に使用されています。

台湾の子供は、学校教育において、全て注音符号(ボポモフォ)を使用して学習します。しかし、世界的には北京語の拼音(ピンイン)の使用率が高いため、外国人向けの台湾華語の学習用テキストでは、注音符号(ボポモフォ)と拼音(ピンイン)記号が併記されています。

台湾華語中国の北京語
発音記号注音符号(ボポモフォ)拼音(ピンイン)
例:日本ㄖˋ ㄅㄣˇ(リーベン)rì běn(リーベン)

相違点3. 単語や挨拶等の表現

小姐? 服务员?

台湾華語と中国の北京語においては、同じ単語であっても、ニュアンスが異なる場合があります。

例えば、若い女性を指す「小姐(シャオジエ)」という単語について、台湾では英語のMs.に近い意味で使用されており、スーパーや、レストランの女性店員に対して、台湾人は気軽に「小姐!」と呼びかけます。

しかし一方、中国における「小姐」という単語は、水商売の女性という意味を含むため、中国人は、女性店員に対しては「服务员(フーウーユエン)」と呼びかけます。

また、台湾華語だけで使用される独自の表現も存在します。以下に、ビジネス上で頻繁に登場する台湾華語特有の表現について、5つの事例をご紹介します。

<台湾華語特有の表現の事例> 早安(ザオアン)__おはようございます 不會(ブーフォエィ)_どういたしまして 零組件(リンズージェン) _部品の組み立て

上記とは逆に、台湾においてはあまり使用されない北京語独自の表現(一例:早上好/ザオシャンハオ、意味:おはよう)も存在します。それらを台湾人との会話の際に使用してしまうと、相手に不快感を与える場合もあるため、少し注意が必要です。

以下の記事で、北京語独自の表現についてさらに詳しくご紹介していますので、参考になさってください。

関連記事:【台湾で中国語が通じない!?】台湾と中国で異なる中国語の違いとは

台湾の言語の翻訳で活用できる機械翻訳アプリと使用時に注意すべき点

翻訳作業

ニュース記事等で活用できる翻訳アプリ

台湾におけるビジネスを展開なさる場合、台湾の法律改正や、ビジネスの情報を調べるために、台湾のニュース等をチェックしたいとお考えの方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、毎日チェックするニュース記事の翻訳を、毎回、翻訳会社に依頼するということは、コストと翻訳時間の面から、現実的な方法とは言えません。

台湾のニュースや、社内の広報記事等、内容がある程度理解できれば問題ない、というレベルであれば、無料の機械翻訳アプリ「DeepL」や「Google翻訳」等を活用することをお勧めします。

翻訳アプリを使用する際は誤訳のリスクにご注意

誤訳のトラブル

Google翻訳等の機械翻訳アプリは、誰でも手軽に使用できる一方、時に誤訳を招くという怖い落とし穴があります。

機械翻訳で発生した中国語誤訳の事例として、日本国内の地下鉄のホームページで、「あべの橋」という駅が「安倍晋三的橋」と翻訳されてしまったことで、大きな問題となりました。

駅名であれば、笑い話として済まされるかもしれませんが、契約書や製品マニュアル等、ビジネス上の重要な文書で誤訳が生じれば、人命を脅かしたり、企業に重大な損失を招いたりするリスクがあります。

翻訳アプリの使用は、多少の誤訳を含んでも問題ない文章における使用に限定し、重要な文書については、台湾の言語に精通した、プロの翻訳会社にご依頼なさることをお勧めします。

関連記事:【誤訳で80億円の損害!?】誤訳の事例3つと誤訳が起こる原因&解決策

高品質な台湾言語の翻訳は統一翻訳にお任せ

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台湾の言語を翻訳する際には、中国の北京語との違いや、台湾華語独自の表現について、配慮が欠かせないことが、少しお分かりいただけたのではないかと思います。

そこで最後に、台湾華語の高品質な翻訳をお求めの方に、弊社・統一翻訳の翻訳サービスをご紹介いたします。

弊社は、台湾に本社を構えて50年以上の歴史を有しており、直近15年間だけでも、25万社を超える企業の台湾華語翻訳を担当しました。弊社では、常時1万人以上の翻訳者を擁しており、台湾向けの翻訳・ローカライズについては、世界一のクオリティを誇ります。統一翻訳では現在、原文300文字の無料トライアル翻訳を実施中です。もし、台湾の言語に関して高品質な翻訳をお求めの企業様がおられましたら、ぜひこちらからご連絡ください!