こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。

皆様はタイ語についてどんなイメージをお持ちでしょうか?文字が読めない、発音も聞き取れない、とにかく「難しい」言語、という印象をお持ちの方も少なくないのではないかと思います。

タイ語は、日本人だけでなく、英語を母国語とする人々にとっても、習得が難しい言語と言われます。その理由は後ほど詳しく説明しますが、一言で言うと、タイ語にしかない、独自のルールが多く存在するからです。

さらに、タイといえば、英語の話者が少ない国としても有名です。世界112カ国を対象にした最近のある調査では、タイの英語能力指数は、第100位という結果が出ています。つまり、タイにおいては、例えビジネスであっても、英語が通じないリスクがあります。

そのため、もし皆様が、タイと密接に関わるビジネスを展開なさる場合には、タイ語に関するインテリジェンスを、少しでも高めておくことがお勧めです。

そこで今回は、翻訳会社の立場から、タイという国における言語事情と、タイ語が難しいと言われる理由、そして、タイ語をビジネスで使用する際にご注意いただきたい点について、お伝えしたいと思います。

タイ語の基本!タイの公用語と70種類以上の方言

タイ語の公用語とは

タイの公用語は、首都バンコクを中心に話されている「タイ語(中央タイ語)」です。しかしタイにおいては、公用語であるタイ語以外にも、地域ごとに異なった方言が70種類以上も存在しています。以下は、代表的な方言の一例です:

  • タイ東北部(イサーン地方):「イサーン語」
  • タイ北部(チェンマイ等):「チェンマイ語(北タイ語)」
  • タイ南部(プーケット等):「南タイ語」

タイの方言の中では、イサーン語の話者が最も多く、タイ国民全体のうち、約4分の1の方が使用していると推定されています。

タイ語の習得が「難しい」と言われる4つの理由

タイ語が難しいと言われる理由

調査によれば、タイ語は、日本人だけではなく、英語を母語とする話者にとっても、習得が難しい言語と位置付けられています。

そこで、タイ語の習得が難しいと言われる4つの理由、タイ文字の存在、母音と子音の多さ、5種類の声調、文章の書き方、に関して、具体的な事例を用いてご紹介いたします。

理由1. 見慣れないタイ文字の存在

タイ語の学習を始めるにあたって、最初の難関となるのが、文字なのか記号なのかの判別がつきにくい「タイ文字」の存在です。

タイ語の「ญี่ปุ่น」=「日本」の意味

タイ文字は、アルファベットやハングル文字と同じように、音韻だけを表す文字(表音文字)に分類されます。そのため、一見難解に感じられても、一度発音を覚えてしまえば、1文字ごとの発音自体は、なんとなくわかるようになります。

タイ語の難しさは、実は文字そのものではなく、以下で紹介する発音の難しさや、単語の区切りの不明瞭さにあります。

理由2. 母音と子音の数の多さ

タイ語の事例

タイ語には、諸説あるようですが、32種類の母音に加え、さらに42種類もの子音が存在します。しかし難解なのは、種類そのものではなく、その組み合わせです。

タイ語の最も基本的な単語の作り方は、英語と同様に「母音+子音」を組み合わせる形です。

<事例(日本語の意味、発音、発音記号)>

「ไป(行く、パイ、/bai/)」=「ไ(母音/ai/)」+「ป(子音/b/)」

しかしタイ語の場合は、「子音+子音+母音」で1単語になる場合や、「母音+子音+末子音(最後にくる子音)」、それに声調変化が加わる等、変化のパターンが豊富に存在します。

<事例>

「ปลา(魚、プラー、/blaa/)」=「ป(子音/b/)」+「ล(子音/l/)」+「า(母音/aa/)」

理由3. 5種類の声調

タイ語には、5種類の声調が存在します。以下をご覧ください。

タイ語の難しい5つの声調をまとめた表

5種類の声調を使い分けるだけでも大変ですが、タイ語にはさらに「文字ごとに、声調のルールが異なる」という非常に難解な特徴を持ちます。

一例として、日本語で「挑戦」という意味を持つ「ท้า ถ้า(ターター)」という単語を紹介します。左側の「ท้า」と右側の「ถ้า」の声調符号は、ともに上記の表でいうと3、下声(∧)ですが、実際に発音してみると、少し音の高さが異なるのです。

タイ語の場合、声調符号だけにとどまらず、文字ごとに異なる発声方法を覚えることが必須となります。

理由4. 文章の書き方

タイ語は、発音だけでなく、書き方にも特徴があります。それは、タイ文字は分かち書き(単語ごとにスペースを空けて書くこと)をしないという点です。以下の例をご覧ください。

<事例>「あなたは、英語を話しますか?」

英語:Can you speak English?

タイ語:คุณพูดภาษาอังกฤษหรือเปล่า? 

タイ語は、単語の正確な区切りが非常に分かりにくい言語です。そのため、タイ語の原文を正確に翻訳する上では、タイ語の単語や文法に精通していることが、非常に重要となってきます。

タイ語をビジネスで使用する際にご注意いただきたい3つのポイント

実際にタイ語をビジネスで使用したい、あるいは使用する機会がある、とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

そこで、弊社のタイで働くスタッフの意見を元に、タイ語をビジネスで使用する際にご注意いただきたい3つのポイントをまとめました。

その1. 丁寧な言葉遣いを意識する

タイ語は丁寧さを意識

タイという国では会話の際、日本と同様に、目上の人や初対面の人に対する礼儀を非常に重んじます。

タイ語においては、日本語のような尊敬語や謙譲語といった区分はないものの、男性なら語尾に「クラップ(ครับ)」、女性なら「カー(ค่ะ)」という言葉を添えるといった形で、丁寧さを表現します。

タイ語で「サワッディー(สวัสดี/こんにちは)」という挨拶表現が存在しますが、これをビジネスの場でそのまま使用すると、相手に対して少し砕けすぎた印象を与えるリスクがあります。男性なら「サワッディークラップ」、女性なら「サワッディーカー」といった形で表現なさることをお勧めします。

その2. 荒々しい語気を避ける

タイという国では、相手に対し人前で「叱りつける、怒る」という行為は、相手のプライドを著しく毀損することがあります。そのため、タイ語にせよ、英語にせよ、タイ人に対して、語気を強めて人前で注意するといった行為は、避けた方が無難です。

もし、ビジネス上、どうしてもタイ人のスタッフに注意をしなければならない場合は、第三者の目に触れない場所に移り、1対1で誠実に、相手の尊厳を傷つけないようにお話しすることをお勧めいたします。

その3. ビジネス文書のタイ語翻訳は翻訳会社に任せる

タイ語の翻訳は難しいので気をつける

タイにおけるビジネスでは、英語が通じにくい現地スタッフや取引先とも円滑にやりとりを行うために、操作マニュアルや契約書等のタイ語への翻訳が求められる可能性があります。

その際、誰でも手軽に使用できるのが、Google等の機械翻訳ですが、タイ語に関しては、正確な機械翻訳が可能になるほどの研究やデータ量が不足しているため、精度の高いタイ語の機械翻訳ソフトの完成は、まだまだ先の話でしょう。ビジネス文書に機械翻訳を使用することは、現時点ではNGです。

翻訳の誤訳は、時に大きなトラブル を招きます。例えば、タイ国内のメディアが国王陛下の誕生日式典を祝う内容を配信した際、タイ語⇆英語の機械翻訳を使用した、あるメディアが、国王陛下を侮辱するような内容に誤訳されたテロップを流してしまい、政府機関から責任を追求される事件も発生しました。

もし、皆様が今後タイにおけるビジネスを円滑に進めたいとお考えであれば、重要な文書の翻訳は、タイ語翻訳に精通した、プロフェッショナルな翻訳会社に依頼することをお勧めいたします。

高品質なタイ語翻訳は、統一翻訳にお任せ

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いかがでしたか?今回は、タイ語の難しさについて、少しお分かりいただけたのではないかと思います。最後に、タイでのビジネス翻訳をお考えの方に、弊社・統一翻訳のタイ語翻訳のサービスを紹介させていただきます。

弊社では、世界の140種類の言語をそれぞれの母国語とする、1万人以上の翻訳者を擁しており、タイ語の翻訳に関しても、ネイティブ翻訳者による、高品質な翻訳のご提供をお約束します。また、タイのイーサン語のような方言の翻訳であっても、ネイティブ翻訳者の手配が可能です。

さらに、翻訳品質を保証できるあかしとして、翻訳品質の国際規格である ISO17100 を取得しております。そのため、誤訳が許されない資料に関しても安心してお任せいただけます!現在弊社では、原文300文字の翻訳無料トライアルを実施しております。もし高品質な、タイ語翻訳をお求めの方がおられましたら、是非一度こちらからご連絡ください!