こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。

皆様は、台湾の公用語というと何を思い浮かべるでしょうか?よく台湾の公用語は、「台湾語」だと勘違いされますが、正解は台湾華語(國語)です。

日本人の方が「中国語」と認識している中国語という言語は、おそらく北京語のことであり、台湾国内で使用されている台灣華語(國語)とは、若干発音と文字が異なります。しかし、「台湾語」となると、実は全く異なる言語になるのです。

日本人の方からすると、台灣華語、北京語、台湾語は一体どのように異なるのか、分かりにくいかもしれません。しかし台湾向けのビジネス翻訳では、これらの違いを押さえておく事で、さらにビジネスが優位に進められるようになります。

また現在、台湾人の日本への旅行願望は非常に高まっており、数年以内には台湾から日本への旅行者が一気に増える事でしょう。その時への備えとしても、台湾人向けの公用語をきちんと押さえた訳文を作ることが、ホスピタリティの面においても非常に重要になってきます。

そこで今回の記事では、台湾の公用語である台湾華語、中国の北京語(普通話)、台湾語(閩南語)のそれぞれの違い、そして台湾ビジネス向けの翻訳で知っておきたいポイントを3点ご紹介します!

台湾の公用語とは?

台湾の公用語

まず、今回ご紹介する3つの言語について簡単に説明します。

  • 台湾華語(國語):台湾の公用語、1940 年代から使用開始、北京語ベース
  • 中国語(普通話):中国の公用語、北京語ベース
  • 台湾語(閩南語):台湾南部を中心に使われる話し言葉

台湾の公用語に当たる言語は、台湾華語(國語)です。

台湾華語は、歴史上においては1945年からスタートした言語で、当時、中国で話されていた北京語を素地とし、そこに台湾の台湾語(閩南語)や日本語が混ざり合って生まれた言語です。その後、台湾で公用語としての地位を、徐々に確立しました。

台湾の公用語と中国の公用語(普通話)との違い

中国の公用語ー普通話

では、続いて台湾の公用語と中国の公用語(普通話)との違いについて、少し詳しくお伝えします。

例えば、皆様が東京で「中国語を習いたい!」と思い立った際、おそらく近所の語学学校で教えている中国語や、書店で手に入る参考書は、99%が中国の公用語です。そのため、日本人の方にとっては、中国の公用語(普通話)を目にする機会のほうが多いと思います。

しかし、台湾華語と中国の公用語を比較すると、実は意外に異なる点が多いのです。

中国の公用語(普通話)と台湾華語は、どちらも北京語を素地とはしていますが、漢字の違い、表現上の違い、発音の違い等があります。具体的には以下の通りです。

中国の公用語普通話台湾の公用語台湾華語
表記の違い簡体字繁体字
表現上の違いタクシー:出租车地下鉄:地铁 等タクシー:計程車地下鉄:捷運 等
発音の違いそり舌音がある(r化)そり舌音がほぼ無い
発音記号の違い拼音(ピンイン)注音符号(チュウインフゴウ)

上記以外にも、台湾と中国のニュース放送において、発音記号/i/、/w/、/y/の発声の長さを比較すると、台灣華語の方がこれらの発音が短い、また、文脈上の「有」の使用率が台湾華語の方が微妙に高い、等の違いがあるという研究結果も出ています。

つまり、台湾の公用語である台湾華語と、中国の公用語の間には、日本人の方が把握しきれない差異が色々とあるということです。

そのため、ビジネス等、重要な場面で翻訳文を使用する場合は、台湾の公用語に精通した翻訳会社にご依頼いただくことをおすすめします。

台湾向けの中国語翻訳で注意すべき点については、過去の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:プロが教える【台湾語 (繁体字中国語) 翻訳の注意点】

台湾の公用語と台湾語(閩南語)との違い

台湾語と台湾華語の違い

次に、台湾の台湾語(閩南語)と、台湾華語との違いについてご紹介します。

よく、日本人の方から台湾の公用語と間違えられがちな「台湾語」ですが、こちらは正確には、中国の福建省で使用されていた閩南語を素地とする言語のことを指します。1600年代に、中国福建省から台湾の地に移民してきた人から、閩南語が広まりました。

閩南語は、話し言葉であるため、正確に言葉の内容を書き表わす文字を持っていません(日本の各地方の希少な方言と同じく、文字化する必要に迫られなかったため)。

さらに、台湾華語や北京語の声調が四声なのに対して、台湾語(閩南語)はなんと八声もあります。「八声」ということは、八種類の声調(音の高低や上がり下がり等)を使い分けないと、相手に言葉の意味が正確に伝わらないということを意味しています。

現在では台湾の小学生でも、授業中、少し閩南語(や原住民語)を習うのですが、日常会話のほどんどは台湾華語で行われるため、どんどん話者が減っています。台湾南部においては、閩南語を話せる人がまだ比較的残っておられますが、北部では、話せない人も増えています。

つまり、台湾向けのビジネスにおいて、台湾語(閩南語)に翻訳するというケースはほとんど発生しません。台湾の公用語に翻訳したい場合は、「台湾華語」を使用するという点に、ご注意いただけましたら幸いです。

台湾華語のさらに詳しい内容については、併せてこちらの記事も参考になさってください。

関連記事:【台湾で中国語が通じない!?】台湾と中国で異なる中国語の違いとは

※もし何か特殊な事情があって、本当に台湾語(閩南語)への翻訳が必須の場合は、台湾に本社を持つ統一翻訳にご相談ください。

台湾ビジネスの翻訳で知っておいていただきたいポイント3点

台湾ビジネスの翻訳で知っておきたいポイント3点

最後に、台湾向けのビジネスで翻訳を使用する場合、知っておいていただきたいポイントを3点、お伝えします。

  • 台湾人は中国の公用語(普通語)が概ね理解できる(特に若い世代)
  • 日本国内の店頭対応等であれば、中国人のスタッフでも、台湾人への接客は問題ない
  • もし本当に高品質な台湾向けのビジネス翻訳をお求めであれば、台湾公用語(台湾華語)への翻訳が必須

筆者も実際、台湾に住んでいますが、若い世代の台湾人は、動画配信サイト等で普段から中国の北京語を耳にしたり、簡体字の字幕を目にしたりしているため、聴く、読むことに対してはかなり慣れています。

そのため、例えば日本国内のホテルや薬局の店頭対応であれば、台湾公用語が話せるスタッフや、繁体字のパンフレットがなかったとしても、台湾人は内容を理解できます。

しかし、台湾は、世界で最も訪日客が多い国として知られているように、日本国内のホテルやサービス業のお得意さんです。台湾華語を話せる通訳や、パンフレットをきちんと用意しておくことで、台湾人からの評価が上がり、集客につながりやすくなることが期待できます。

また台湾向けのビジネスを成功させたい場合、文書をきちんと繁体字の台湾華語に翻訳するのは最低限の必須事項です。それがあると無いとでは、商談相手からの信頼感が、天と地ほど変わってきます。

普段、説明書や広告のコピーで、中国向けに翻訳した文章を、そのまま台湾向けにも流用される企業様を見かけます。しかしこれでは、台湾人の商談相手から怪しい企業だと警戒され、信頼を失いかねません。

台湾市場は中国市場ほど大きくないとはいえ、2300万人の人口を誇り、実はオーストラリアとほぼ同じ人口です(2021年8月現在のオーストラリアの人口:約2536万人) 。そのように考えれば、決して、軽視できない市場であると言えます。

そのため、今後本気で台湾向けのビジネスをお考えであれば、必ず、台湾公用語に精通した翻訳者が所属する翻訳会社に依頼なさることをお勧めします。

皆様もこのブログの内容をご活用いただき、台湾公用語へのインテリジェンスを深め、台湾向けのビジネスを円滑に展開していただけましたら幸いです。

台湾で実際に使用されている言語の特徴を、さらに詳しくお知りになりたい方は、以下の記事も参考になさってください!

関連記事:【台湾の言語の特徴とは】ビジネスで誤解を生まないためのポイントと翻訳アプリの注意点

台湾の公用語(台湾華語)の翻訳なら統一翻訳へ

統一數位翻譯について

今回のご紹介したように、中国の公用語と台湾の公用語では、様々な点において異なっています。

そのため、中国市場向けの翻訳をそのまま台湾市場に転用してしまうと、台湾のことを、よく知らない会社だと捉えられ、信頼を大きく失いかねません。

そこで、台湾公用語のプロフェッショナルな翻訳に関しては、台湾に本社を構え、台湾向けの翻訳・ローカライズについては、世界一のクオリティを誇る弊社・統一翻訳にお任せください。

弊社では世界の140種類の言語をそれぞれの母国語とする1万人以上の翻訳者を擁しているため、安心してご依頼いただけます。また弊社では、ネイティブチェックはもちろん、専門の翻訳後に、訳文やキャッチコピーを、デザインにまで落とし込むDTPサービスもご提供しています。

また品質面においても、ISO17100を取得し、通常の翻訳会社より厳しいレベルでプロジェクト管理を実施しています。そのためいかなる分野・業界であっても、高品質な翻訳をご提供することをお約束します。


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