こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。
近年、日本企業による海外へのビジネス進出が、非常に増えています。弊社・統一翻訳が本社を構える台湾でも、毎日のように日本企業の商品やサービスの広告を目にします。
このブログをご覧の皆様も、広告を通じて、新しい企業の商品やサービスに出会ったというご経験が、少なからずあるのではないかと思います。企業様が、新たな地で、自社のサービスや商品を広めたいとお考えの場合、広告は非常に有効な手段になります。
しかし、海外で広告を出す、あるいはプロモーション活動を行うにあたって、予算を抑えるために、日本語の資料を、機械翻訳を利用して翻訳することはお勧めできません。
なぜなら、広告関連の資料は、使用地の文化的背景や、社会状況、価値観等が豊富に盛り込まれていることが多く、ただ直訳するだけでは、企業理念や製品の魅力が正しく伝わらないからです。
例えば、日本製の化粧品で使われる、白くきめ細かくなめらかな肌を示す「もち肌」という表現は、無料の機械翻訳を使用すると “Glutinous skin” (粘り強い、粘っこい肌)と直訳されてしまいます。これでは、せっかくのいい商品も台無しです。
そこで今回は、企業の海外へのビジネス展開で欠かせない広告翻訳において、皆様にご注意いただきたいポイントを、まとめてご紹介します。
広告表現のミスで罰金〇〇万円!?翻訳時にご注意いただきたい法律
まず、広告翻訳を行う際に、必ずご注意いただきたいことをお伝えします。それは、訳文を使用する国の、広告関連の法律です。
国や地域によって、広告に関する法律は異なります。そういった知識無しに、原文どおり翻訳を行ってしてしまうと、最終的に、重い罰金が科せられることもあります。
ここで、日本の消費者庁の資料を元に、広告表現に関する法律の一例をご紹介します。
- アメリカ:連邦取引委員会法(FTC法)
- 中国:中華⼈⺠共和国広告法
- 日本:景品表⽰法
例えば、中国の広告においては、「最」「一」「首」等、最も良い、一番である、といったイメージを彷彿させるような単語は、法律上の決まりから使用が禁止されています。
また台湾の広告においては、マッサージ店でも、瘦身(痩せる)、骨盤矯正、といった言葉は使用できません。
もし隠れて使用して、台湾政府に見つかった場合は、30万台湾ドル(2022年8月現在日本円にして約120万円)ほどの罰金が科されるリスクがあります。
このように、広告翻訳は、法律に関するインテリジェンスがないと、思いがけない落とし穴にはまることがあるため、くれぐれもご注意ください。
企業の印象が大きく変わる!?海外ビジネスできちんと翻訳したい広告資料
では実際、海外にビジネスを展開する際に、翻訳をしておくと便利な広告関連の資料をご紹介します。以下がその一例です:
- プレスリリース
- 雑誌やインターネット広告のキャッチコピー、広告文
- メディア向けの広告記事
- ウェブサイト
- ブログ・動画等のコンテンツ
- SNS(ソーシャルメディアネットワーク) 等
例えばプレスリリースを日本語で発表した会社があったとします。そのプレスリリースを見た方が、プレスリリースを発表した会社を検索し、訪問したウェブサイトが中国語表記しかなかった場合、ユーザーはどのように感じるでしょうか?
企業が海外でビジネスを展開する際は、ウェブ上のコンテンツは全て進出先の言語に翻訳する事を強くお勧めいたします。
正しく原文の内容を伝えるための広告翻訳のポイント
次に、広告関連資料を翻訳する際、しっかり原文の内容を伝え、ビジネスで成果を出すために、特に気をつけていただきたいポイントをご紹介します。それは以下の観点です:
- 文化的背景や価値観
- 言語表現
文化的背景や価値観の違い
広告資料の翻訳では、国や地域ごとの文化的背景や価値観の違いを考慮しないと、訳文が、使用地の文化や慣習にそぐわない内容になってしまうことがあります。
例えば、日本国内向けに「6月の父の日のプレゼントはコレに決まり!」という広告用のキャッチコピーがあったとします。ただもし、そのキャッチコピーを海外(例えば台湾)でも使用することになった場合、ちょっと問題が起こります。台湾では、父の日は6月ではありません。8月8日(88=パパの日)です。そのため、6月に台湾で「父の日」を翻訳した広告を配信してしまうと、違和感が出てしまいます。
また、同じ商品でも、何を重視するかという価値観は国や地域により異なります。
例えば、アパレル商品の場合、アメリカの消費者はその商品が持つ機能性を重視しますが、日本では商品がいかに高級素材で作られているかといった面を重視する、という研究結果が出ています。
つまり、ある国で使用した広告文章を、ただ単に直訳するだけでは、別の国においては全く効果が出ない、ということもあり得るのです。
言語表現の違い
また、同じ内容であっても、国や地域により、言語表現自体が異なるという問題も存在します。
例えば、中国語から日本語に翻訳する場合は、中国語の漢字につられて、日本語でもそのまま同じ漢字を使用してしまうことがあります。しかし、それでは意味が異なってしまう場合があります。
- 例:中国語「哺乳」→ 日本語「授乳」
他にも例えば、表現したい内容が同じでも、地域ごとに異なる比喩表現が用いられるといった場合があります。
- 例:中国語「落湯鶏」 → 日本語「濡れ鼠」
(突然の雨に降られて、全身ずぶ濡れになることを、日本では「濡れ鼠」などと表現することがありますが、中国語では「落湯鶏」つまり「スープの中に落ちた鶏」という比喩を使用します)
このような罠(というより、言語の奥深さ?)が色々ありますので、広告資料の翻訳の際は、まず原文の意味を充分に把握してから、訳文の使用地に適した表現方法に変えることをお勧めいたします。
上記の他にも、日本語と中国語で異なる漢字や文法のルールについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考になさってください!
高品質な広告翻訳が提供できる翻訳会社の選び方
広告関連資料の翻訳では、ただの直訳では原文の持つ意味が伝わりにくくなるという背景が、少しわかっていただけたと思います。
では、文化的背景や価値観、表現の違いや、広告法規に配慮した、高品質な広告翻訳を行うには、どうすればいいのでしょうか?
そのためには、弊社・統一翻訳のように、企業がビジネスを展開する地域の、ネイティブ翻訳者がいる翻訳会社を選んでいただくことをお勧めします。
例えば、弊社の場合、以下の2点を翻訳のプロセスに含んでいます:
- ネイティブチェック(訳文の言語を母語とするネイティブ翻訳者によるチェック)
- ローカライゼーション(訳文の使用地における文化的背景や慣習を反映)
前章でご紹介した通り、広告関連の資料の翻訳では、ビジネスで成果を出すためにも、国や地域ごとの文化的背景や価値観、表現方法の違いに対する配慮が欠かせません。
例えば、台湾の中国語と、中国の中国語では、同じ「タクシー」という単語でも、台湾では「計程車」、中国では「出租車」と、異なる単語で表現されます。台湾と中国における中国語の違いについては、以下の記事でも詳しく扱っています。
上記のような違いに配慮せず、誤った翻訳をしてしまうと、ビジネス進出先の国や地域における企業の好感度や信頼度を全て失うリスクもあります。
さらに統一翻訳の場合は、ただ、翻訳プロセスに、ネイティブチェックや、ローカライゼーションを含むというだけではありません。
世界の140種類の言語をそれぞれの母国語とする1万人以上の翻訳者を擁しているため、どのような業界であれ、業界の法規に精通した、プロフェッショナルな翻訳者をご紹介することが可能です。
現在、弊社では、翻訳の品質をご確認いただける原文300文字の無料トライアル翻訳を実施中です。もし高品質な広告翻訳をお求めのお客様は、ぜひこちらから、お気軽にご連絡ください。