こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。皆さんは、いい翻訳会社を見分ける基準になる翻訳規格があるのをご存知ですか?それがISO 17100という翻訳サービスの国際規格です。
ISO 17100では翻訳者の質、品質管理からプロジェクトマネジメントまで、翻訳の質を高めるためにあらゆる項目が規定されています。ISO 17100を取得するにはかなり厳しい審査をクリアする必要があります。
ですが実際にISO 17100の詳細や、ISO 17100を持っている会社がどれほど厳しいルールを徹底をしているのかについては、知らない方も多いと思います。
そこで今回は、これから翻訳を依頼したいと考える方に、ISO 17100の概要とISO 17100を取得した翻訳会社が守るべきルール、そして他にも知っておきたい国際規格について、実際にISO 17100を取得している統一翻訳がご紹介します!
翻訳会社選びでミスができないとお考えの皆様にとっては、必見の内容です!
ISO 17100の基本事項と概要

最初にISO 17100の概要について説明します。ISOとは国際的に通用する規格を制定する機関(国際標準化機構)で、その中にISO 17100という翻訳サービスに特化した規格があります。IS017100の内容は以下の通りです。
内容 | |
---|---|
正式名称 | Translation services-Requirements for translation services(翻訳サービス-翻訳サービスに関する要求事項) |
策定者、時期 | 国際標準化機構(ISO)、2015年制定 |
目的 | 翻訳文の品質を確保し,そのための方法を国際的に共有すること |
内容 | 翻訳サービス提供者が品質を保証するために具備すべき必要事項が定められている |
対象 | 翻訳会社、フリーランスの翻訳者、組織内の翻訳担当部署など |
実はISO 17100の制定を主導したのは、ヨーロッパと日本です。日本語と世界の言語との隔たりを埋めるため、2015年、ISO 17100制定関係者を日本に招待し、シンポジウムを開きました。現在、ISO 17100の和訳版は日本規格協会から刊行されています。
ISO 17100で規定されている内容
ISO 17100で規定されている内容は大きく分けて3つあります。それは人的資源、技術的資源、翻訳作業工程の基準です。統一翻訳もISO 17100を取得しており、これらのルールを遵守しています。ここではそれぞれの内容を詳しく説明しましょう。
人的資源
まずは人的資源の項目です。これは翻訳に関与する人員の質を維持するため、翻訳者・チェッカー・プロジェクト管理者などを管理する上でのルールを定める項目です。翻訳者、翻訳会社が順守する内容は以下の2点です。
- 翻訳に関与する人員が必要な能力・資格を持つことを保証する手順を文書化すること
- 翻訳者・校閲者・監修者その他の職務能力を証明する根拠となる文書を保存すること
具体的な翻訳人員に必要な能力・資格については、以下の通り定義されています。
翻訳人員に必要な能力:
「原文とその特性(主題分野、文書の種類など)を理解し、それらにかかわる専門用語、文化的・言語的慣習などを考慮しつつ適切な訳文を書く」能力のことです。翻訳能力だけでなく、適切な情報収集・利用能力も必要です。
翻訳人員に必要な資格(以下のいずれかが必要):
- 翻訳に関する高等教育の学歴を有する
- 翻訳以外の分野での高等教育の学歴と2年間の翻訳実務経験を有する
- 5年間の翻訳実務経験を有する
ISO 17100では、人員の資格そのものに加え、翻訳会社や団体には「翻訳者が継続して能力を維持している状況」を記録する必要があります。
具体的には研修等により維持・向上を図る体制を整え、実績を記録する必要があり、正しく対応しないとISO監査で取得が取り消されることもあります。もちろん統一翻訳も、この研修・記録プロセスを遵守しています。
技術的資源
2つめは技術的資源の項目です。ISO 17100を取得した会社は、高レベルな翻訳の実施・機密保持文書の管理などに必要な技術的インフラを備えていることが必須です。具体的には翻訳の実施やデータ管理に必要なシステム、通信設備、用語管理ツールなどが該当します。
実際に統一翻訳でも、使用頻度の高い語句やフレーズを蓄積するなど、翻訳プロセスを容易にするCATツールや、パソコンで翻訳に必要なドキュメントのデザインやレイアウト、編集作業などが可能になるDTPツールなどを備え、翻訳の質を高めています。
翻訳作業工程の基準
3つめは翻訳作業工程の基準が定められた項目です。ここでは実際の翻訳フローに沿って、5つの工程基準を説明します。
(1) 翻訳実施前の準備作業
人的リソースの確保、明確な見積書(対価、言語、納期、形式、媒体)の提示、合意内容の文書化など
(2) 翻訳プロジェクト本体の準備作業
プロジェクト台帳の作成、翻訳資源(用語集やスタイルガイド、参考資料、翻訳メモリー等)の準備など
(3) 翻訳プロジェクト実施中の管理
プロジェクト管理者の設定、適切な翻訳者・校閲者の選定、納期厳守に向けた進捗管理、仕様書との適合性チェック、顧客からのフィードバック管理など
(4) 翻訳の実施とチェック
用語・スタイル・書式等の仕様書との一致チェック、翻訳者とは別の校閲者によるダブルチェック、プロジェクト管理者による最終チェックなど
(5) 翻訳終了後の作業
顧客からの修正要求の処理手続き、機密保持データの保存や廃棄に関する処理手続きなど
統一翻訳でもISO 17100で定めるプロセスを順守し翻訳しています。統一翻訳の翻訳プロセスはこちらのページで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
翻訳時にISO 17100を取得した翻訳会社を使うメリット
ISO 17100を取得するには、順守すべきたくさんの基準があることをお伝えしました。では実際に依頼者がISO 17100を取得した翻訳会社を使うメリットはなんでしょうか?ここでは3つ紹介します。
<翻訳時にISO 17100がある翻訳会社を使うメリット>
- 品質面で信頼できる翻訳会社を見分ける基準になる
- 翻訳作業に遅延が起きにくい
- 依頼主のフィードバックをきちんと反映してくれる
ISO 17100を取得している翻訳会社は、翻訳者の質から情報管理、プロセス管理まで高いレベルにあることを証明しています。つまり品質面における信頼度が高いということを意味しています。
またISO 17100には納期を守るための進捗チェックの実施や、依頼主のフィードバックへの対応体制の整備も規定されています。つまり納期トラブルや思っていた仕上がりと違う、という事態が起こるリスクがかなり減ります。
さらに「機密保持データの保存や廃棄」に関する処理能力の高さも重要な要素であり、どんなに翻訳品質が高い翻訳会社でも、情報やデータの保存・機密保持を守る制度やシステムが完備されていなければ何の意味もありません。
そのため、利用範囲が広く、企業のイメージ全体に関わるような翻訳や、医療や特許など専門性が高い翻訳、デザインまで含めた高度な翻訳が必要な場合は、ISO 17100を取得した翻訳会社に依頼するのが最もオススメです。
ISO 17100以外で重要な国際規格とは
ISO 17100の他にも、質の高い翻訳会社を選ぶ際にチェックしたい国際規格はいくつかあります。それはISO9001やISO18587などです。ここでは簡単にその内容を紹介します。
ISO 9001(Quality management systems-Requirements)
ISO 9001は翻訳にかかわらず「商品やサービス」の品質向上を目的とした品質マネジメント規格です。顧客満足度を向上させる良いサービスを提供するルール作りや、継続的に改善を行う仕組み作りなどの要求事項が含まれます。ISO 9001を取得している会社は安定して顧客サービスの質が高いといえます。
ISO 18587(Post-editing of machine translation output-Requirements)
ISO 18587は機械翻訳を利用する場合のポストエディット(翻訳結果手直し)の工程基準を定めた規格です。ポストエディター(翻訳者)に対して、「機械翻訳の技術、機械翻訳エンジンのエラーに対する知識を持つ」などの要求事項が含まれます。機械翻訳を利用する場合、ISO 18587を取得している会社に翻訳の手直しを依頼すれば安心です。
ちなみに、専門性が高い医療翻訳や翻訳者のセンスが問われるキャッチコピー等の翻訳では、機械翻訳を利用しない方がいい場面もあるので、どちらを使うかは利用目的に合わせて使い分けることがオススメです。
医療翻訳やキャッチコピー等の翻訳の難しさは、こちらのブログでも紹介しているのでぜひ参考にしてください。
いかがでしたか?今回は質の高い翻訳会社の証明である国際規格ISO 17100の内容を紹介しました。
もし今後、皆様が翻訳を依頼する際、もし本当に高品質な翻訳サービスをお求めなら、ISO 17100やISO9001など複数の国際規格を取得している統一翻訳までぜひ一度ご相談ください!