皆さんこんにちは、統一翻訳ライターの津山です。
今回は「ゲームの翻訳」がテーマです。コロナの影響で家にいる時間が増えたことが追い風となり、2020年のスマホゲーム世界市場規模は7兆円を超えるまでに成長しました。元々のゲーム人気に加え、スマホゲームの牽引もあり、今、世界中でゲーム翻訳のニーズが非常に高まっています。
日本は人気ゲームを多く輩出し、その多くは、様々なに翻訳され世界中で愛されてきました。最近では中国やアメリカもゲームの海外進出を拡大しています。また近年のSNSの発展により、海外ユーザーの反応を計測しやすくなったこともあり、今後もゲームの海外進出はさらに加速していくことが予想されます。
そこで今回は、海外進出におけるゲーム翻訳の重要性と抑えておきたい3つのポイント、ゲーム翻訳の流れを5分でわかるようにまとめました。今後、自社ゲームで海外進出を狙う企業の皆様には必見の内容です!
なぜゲーム翻訳は重要?
ゲームの人気を決めるのはもちろんストーリーや操作の楽しさ、キャラクターの魅力などですが、海外進出の場合はもう一つ重要な要素があります。それが翻訳の質です。
翻訳の質がユーザー評価に直結するからです。翻訳の質が高いと「ユーザーが混乱することなく、ゲームの世界観に没頭できる」ため、それだけでもユーザーの評価は非常に高くなります。実際にプレイした人のレヴューを参考に購入を決めるも多く、ユーザー評価が高いというのはマーケティング上、重要なポイントになります。
今や世界中のゲームがSNSを通じてシェアされるようになり、ユーザーの評価手軽も気軽に見られるようになりました。特に新しいIP(知的財産権)の場合は、高評価を得て、多くのユーザーにシェアされれば、最良のPRになります。
実際に、ゲーム翻訳が高評価に繋がった例と、逆に評価を下げてしまった例をお伝えします。今ではSNSを通じて、リリース後のゲームの評価がすぐにシェアされるので、発売前のテストでしっかりと翻訳を確認しておくことが大切です。
高評価の例 | 低評価の例 |
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The Witcher 3: Wild Hunt | Outer Wilds |
海外ゲームタイトルの有名日本語ローカライズにおいて有名なプロデューサー・本間覚氏を加え、ゲーム開発と翻訳を同時に進行。世界観が見事に再現されていると高い評価を得た。*参考:ファミ通.com | 日本語版『Outer Wilds』の翻訳の品質があまりにひどいこととTwitterでファンから指摘され、開発元がNintendo Switch での発売までには、修正することを発表。*参考:twitter |
ゲーム翻訳時に重要な3つのポイント
その1. ゲームの世界観を再現する
ゲーム翻訳の際に重要なのは、ゲームのキャラクターや彼らが存在する世界、人々の性格や特徴、生活などを含めた「世界観」を壊さないことです。
しかし、ただ翻訳するだけでは、無機質な表現になったり、キャラクターの特徴が全く活かされない翻訳になったりするという失敗が起こります。
ゲームの世界観をきちんと再現するには、翻訳者自身がゲームをプレイしたり、シナリオを読み込んだりしてゲームを理解してから翻訳をすることが重要です。ゲームに慣れることで、キャラクターの発言や情景描写の意図をくみ取れるようになるからです。
世界観はゲームの評価を決める上で、非常に重要なポイントなので、翻訳会社にゲーム翻訳を依頼する際は、できればゲーム専門の翻訳者を探してもらうことをお勧めします。
その2. 重要用語やスタイルの統一
ゲーム内の世界観を維持するためにもう一つ重要なのが、重要用語やスタイルの統一です。これらの統一のために使われるのが「グロッサリー(用語集)」と「スタイルガイド(言葉遣いや字体のルール)」です。それぞれの概要を説明します。
・グロッサリー(用語集)とは
ゲームの中で『特定の単語を~〜と表現する』というルールを指定してまとめたものです。ゲームにはキャラクターやアイテム、技などたくさんの固有名詞が登場するため、適切な翻訳をあらかじめ用語集にまとめ、翻訳会社に提出しましょう。
・スタイルガイドとは
翻訳時の表記を統一するために、言葉遣いや字体のルールをまとめたものです。「このキャラクターは丁寧語を使う」「この主人公は、こういう口癖や語尾を使う」といった重要な要素をまとめ、用語集と一緒に翻訳会社に提出しましょう。
その3. 文化的背景への配慮
ゲーム翻訳の際は、文化的背景への配慮も非常に大切です。ただ日本語を直訳するだけでは、発売地域で意図が伝わらなかったり、最悪の場合、誤解を生んだりしてしまう可能性もあるからです。
このような失敗を避けるためには、原文の翻訳の完了後に、発売地域の文化に適した文章となっているか、翻訳文の中に発売地域では許されない表現がないかなどをチェックし、調整することが重要です。これを「ローカリゼーション」と言います。
最近ではゲーム翻訳を「一次翻訳」と「ローカリゼーション」に分類し、「ローカリゼーション」の部分はゲームの開発会社が担当するケースもあります。
翻訳会社に依頼する際、「一次翻訳」のみをお願いするか、「ローカリゼーション」まで含めて依頼するかで作業時間、費用が異なってきます。そのため、必ず事前にゲーム会社と翻訳会社の間で作業範囲を確認しておくようにしましょう。
ゲーム翻訳のプロセス
最後にゲームを翻訳する時のプロセスをご紹介したいと思います。
Step1. ゲームに関する情報の整理
まずゲーム会社は、ゲームに関するあらゆる情報の整理、そして翻訳範囲の確定をする必要があります。以下にゲーム翻訳に必要な情報の一例を紹介します。
ゲーム翻訳に必要な情報(一例)
開発時の企画書、仕様書、実際にゲーム内で表示されるストーリーテキスト、キャラクター設定、グロッサリーやスタイルガイド、ゲームマニュアル など
Step2. 翻訳のファイルを準備
情報の整理が終わり、翻訳の範囲が決まったところで、翻訳会社に翻訳文のファイルを提供します。
統一翻訳(株)では、あらゆるデータに対応しています。どのような形式、アプリケーションのデータでも対応可能ですので、お気軽に御相談ください。ただし、翻訳したい原文が、ただ羅列されているだけのデータではいけません。
翻訳対象となるテキストが、アイテム名なのか、キャラクター名なのか、必殺技の名前なのか、ステータスの名前なのか、一見すると分からないからです。UI用語には必ず、その原文がどういうものであるかの情報も添えられてある必要があり、またストーリー(台詞)の翻訳では、その台詞の隣にキャラクター名や、キャラクターID番号、性別などの情報が書かれていなければなりません。
翻訳文のファイル形式に関する内容については、こちらの記事も参考にしてください。
Step3. 翻訳者によるゲーム学習
ゲーム翻訳では、高い語学力を備えていることは当然のこととして、ゲームの世界観に沿って翻訳できる表現力も必要です。そこで、優秀な翻訳者であれば、ゲームを実際にプレイしたり、仕様書を読み込んだりしてゲームの世界を深く理解する努力をします。
Step4. 翻訳作業
翻訳者はグロッサリーやスタイルガイドを確認しながら、翻訳作業を進めます。また、ユーザーがわかりにくそうな点があれば、逐一、ゲーム会社に確認をとることもあります。
翻訳後は、ネイティブチェックを入れ、発売地域のユーザーにとって自然な文章となっているかを確認します。この時「ローカリゼーション」も含めた翻訳依頼であれば、発売地域の文化的背景に適した内容かどうかも、翻訳会社がきちんと確認してくれます。
Step5. クライアントの最終テスト
翻訳完了後はクライアントで最終テストを行っていただくとともに、発売地域のユーザーにもテストプレイしてもらうのがベターです。もしここで翻訳についてフィードバックが出た場合は速やかに修正し、最終版の訳文の完成となります。
いかがでしたでしょうか?ゲーム翻訳に必要なポイントと流れをまとめてお届けしました。この記事が、これから自社ゲームで海外進出を目指す皆様の参考になれば幸いです。
統一翻訳は台湾に本社を持つアジアで最大の多言語サービス企業です。50年以上の歴史と経験を持ち、日本でもセガやバンダイナムコなど多くの老舗ゲームメーカーの翻訳をお手伝いしてまいりました。
統一翻訳の対応可能言語は136言語にわたり、多言語翻訳にも対応可能です。また品質面でもISO17100やISO9001といった国際翻訳規格にも勝る高品質なTDQCMP®標準作業手順を作成しており、高品質なサービスと成果物のご提供をお約束しております。
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