こんにちは、統一翻訳ライターの津山です。
突然ですが皆様に質問です。台湾向けのビジネスで、日系の企業様が陥りがちな失敗とは何か、ご存じでしょうか?それは、台湾でも中国の北京語(普通語)が通用すると考え、中国で使った商品パッケージや広告、ウェブサイトを流用してしまうことです。
台湾で通じる中国語(台湾華語)と、中国の北京語(普通語)は、似ているようで異なります。しかしながら、台湾へのビジネス進出を、中国進出のついで程度にとらえ、予算を抑えるために、市場規模の小さい台湾向けの商材には、中国向けのものをそのまま転用してしまう、そういった企業様が数多く見られます。
ただ、新規翻訳費という初期費用が抑えられたとしても、肝心の台湾でのビジネスが成功するか否かについては、なかなか難しいでしょうと言わざるをえません。中国でも台湾でも、消費者たちは簡体字中国語、繁体字中国語の差異に対して非常に敏感だからです。
そこで今回は、台湾で本当に通じる中国語を知っていただくため、台湾華語と北京語の違い、台湾のビジネスで中国語を使用する場合の注意すべき点を、中国語の翻訳に精通した弊社・統一翻訳がご紹介します。
台湾で通じる中国語について理解を深めていただき、今後のビジネスにお役立ていただけましたら幸いです。
台湾人が話す中国語と北京語(普通語)の関係性

現在の台湾で使用される中国語という言語は「台湾華語」と呼ばれ、歴史としては1940年代以降からスタートしました。
台湾華語は、中国の北京語(普通語)を素地としつつ、台湾に以前から存在していた様々な言語が混ざり合ってできた言語です。大部分の表現は北京語と類似しているため、台湾でも中国の北京語は基本的に通じます。
台湾の義務教育で学ぶ言語は台湾華語ですが、他にも台湾では、台湾語、客家語、その他複数の原住民が使用する言語が話されています。
その中でも、台湾語という言語は、台湾華語の次に話者が多い言語です。台湾語は中国の福建省の閩南語を素地としつつ、一部日本語の影響も受けて独自の発展を遂げました。
台湾の南部では、台湾語が会社の日常会話でも使用されるため、台湾に赴任する日本人の駐在員の方は、会話の内容が全く聞き取れずに驚かれるかもしれません。台湾語の詳しい内容については、以下のブログも参考になさってください。
台湾で本当に通じる中国語と北京語との3つの違い
台湾でも北京語(普通語)は通じるものの、台湾国内のビジネスで中国の商材をそのまま台湾で使用することは避けるべきです。ビジネスにおけるリスク管理の観点においても、事前に予防できるリスクを、わざわざ放置する必要はないと思います。その理由がはっきりとわかるように、台湾華語と中国の北京語との違いをご紹介します。
漢字の違い(簡体字と繁体字)

まず、台湾華語と中国の北京語に関しては、使用する漢字が異なります。台湾華語には繁体字という伝統的な字体が使われ、北京語に関しては簡体字という比較的シンプルな字体が使われています。
簡体字は中国で1956年に制定された「漢字簡化法案」によって生まれた字体です。繁体字と簡体字を比較した場合、簡体字の方が、繁体字より字数が少ない、という特徴があります。ちなみに、現在の日本語の漢字は、繁体字と簡体字、そして独自に変化した字体が混ざりあっています。
| 台湾の中国語(台湾華語) | 日本語 | 中国の北京語 | |
|---|---|---|---|
| 日本語と台湾の中国語(台湾華語)が同じ | 習 | 習 | 习 | 
| 日本語と中国の北京語が同じ | 學 | 学 | 学 | 
| 全て異なる | 豐 | 豊 | 丰 | 
声調と発音記号の違い

台湾華語と中国の北京語における二つ目の違いは、声調(四声)と発音記号です。
声調に関しては、台湾華語と中国の北京語、どちらも1声〜4声があることは変わりません。しかし時折、同じ単語でも声調が異なる場合があります。
例えば「企業」の声調に関して、台湾華語であれば「qì yè」と、どちらも4声で発音するのに対して、中国の北京語では「qǐ yè」となり、3声と4声の組み合わせになります。
また、声調を示す発音記号も異なります。台湾では、台湾版のあいうえおとも言われる注音符号(ボポモフォ)を使用します。一方、中国の北京語に関してはローマ字で発音を表す「拼音(ピンイン)」を使用します。注音符号の方が、発音の使い分けが細かいという特徴があります。
| 発音記号 | 例:好吃(食事が)おいしい | |
|---|---|---|
| 台湾華語 | 注音符号 | 好吃 ㄏㄠˇ ㄔ | 
| 北京語(普通語) | 拼音 | 好吃 hǎo chī | 
単語の違い

台湾華語と中国の北京語に関しては、同じ意味を示す言葉でも、単語自体が異なる場合があります。
例えば、日本語で「タクシー」を意味する単語は、台湾では「計程車」、中国では「出租车」と表記されます。中国で使用される「出租车」を、繁体字表記に変換すると「出租車」となりますが、台湾で「出租車」と表記すると、レンタカーと勘違いされる可能性がありますのでご注意ください。
その他、台湾と中国において表現が異なるビジネス関連の単語を、いくつかご紹介します。
| 日本語 | 台湾華語(繁体字) | 中国北京語(簡体字) | 
|---|---|---|
| USBメモリー | 隨身碟 | U盘 | 
| デスクトップパソコン | 桌上型電腦 | 台式电脑 | 
| ハードディスク | 硬碟 | 硬盘 | 
| マウス | 滑鼠 | 鼠标 | 
| スマートフォン | 智慧型手機 | 智能手机/智能机 | 
台湾へのビジネス進出で中国語を使用する際に気をつけたいポイント

それでは最後に、台湾向けのビジネス翻訳に精通した弊社・統一翻訳から、台湾向けビジネスで中国語を使用する際に気をつけていただきたいポイントを2点、お伝えします:
広告も含めて、商材に簡体字は極力使用しない
時折、中国で販売している商材の簡体字版の広告を、そのまま台湾でも利用している企業様をお見かけします。
広告は、新しいお客様に企業のサービスを知ってもらうチャンスです。簡体字を使用したことで「中国と台湾の漢字の違いも理解していない企業」と認識され、信頼度を下げてしまうのは非常に勿体無いことです。
台湾向けに使用するマーケティング用の素材や資料は、全て事前に漢字や表現を調整しておくことをおすすめいたします。
商材に流行語を使用する際は、意味の違いに注意する
台湾や中国でも、漢字を従来とは異なる意味で使用したり、あるいは全く新しい造語を作り出したりする「流行語」が存在します。
流行語を商材のキャッチコピー等に取り入れる企業様もいらっしゃるのですが、一方の地域で通じた流行語が、実はもう一方の地域では全く通じないことがありますので、ご注意ください。
例えば最近、中国では「润 (日本語の潤、rùn)」という漢字が新しい意味で使用されています。従来の「润」は「うるおう・湿らせる」等の意味を持っています。しかし、拼音rùnが英語のrunと表記がほぼ同じであることから、「走る、逃げる、移住」等の意味でも使用されるようになりました。
しかし、台湾における「潤」の漢字は、「走る、逃げる、移住」等の意味を持たないため、ただ単に繁体字に置き換えただけでは、全く意味が通じなくなってしまいます。
日本語に置き換えて考えてみると、さらに分かりやすくなるかもしれません。例えば皆様が日本で、外国製の商品をご購入し、その商品の説明書に日本語訳がついていたとして、その日本語訳に誤字や理解できない言葉があったら、どうお感じになるでしょうか?この外国企業はあまり日本のことを理解していない、大事にしていないとお感じになり、信頼度が下がることがあるのではないでしょうか?
台湾のビジネスで成功を納めたいとお考えの企業様は、ぜひ一度、自社の商材や広告等が今回ご紹介したような違いにきちんと対応されているか、ご確認いただくことをお勧めします。
台湾で通じる中国語翻訳をお求めなら、統一翻訳へ

いかがでしたか?台湾の台湾華語と、中国の北京語という言語は、実は異なる部分が多く、特にビジネスで使う場合にはご注意いただきたいという理由が、少しわかっていただけたと思います。
そこで今後、台湾でも自然に通じる、高品質な翻訳をお求めの企業様に是非お勧めしたいのが、弊社・統一翻訳の翻訳サービスです。
弊社は、台湾に本社を構え、50年以上の歴史と実績を誇る翻訳会社です。常時1万人以上の翻訳者を擁しており、台湾向けの翻訳・ローカライズについては、世界一のクオリティを誇ります。日本のトヨタ様や、台湾のTSMC様の翻訳も担当させていただく等、世界の大企業からも信頼いただいております。
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